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ラーケーションとは?先進事例や実践方法を解説

2025.4.21COLUMN
ラーケーションとは?先進事例や実践方法を解説

1. ラーケーションとは?

「ラーケーション」とは、“Learning(学び)”と“Vacation(休暇)”を組み合わせた造語で、旅の中に学びを取り入れる新しいライフスタイルの提案です。言い換えれば、「遊びながら学ぶ」「家族で学ぶ」ことを目的とした、教育×余暇のハイブリッド体験といえます。

もともとは、コロナ禍をきっかけにリモートワークやオンライン学習が普及したことで、「仕事や勉強は、必ずしも決まった場所で行う必要がない」という価値観が広まりました。
これにより、“どこでも働ける=どこでも学べる”という発想に注目が集まり、観光地や農村、自然豊かなリゾートなどを舞台に、親子で「旅しながら学ぶ」取り組みが増えてきたのです。

なぜ「今」ラーケーションなのか?

  • 学校や家庭の“学びのスタイル”が多様化している
  • 家族の時間をもっと充実させたいというニーズが高まっている
  • 環境・地域・社会との関わりを、実体験を通して学ばせたいという声が増えている

また、「働き方改革」や「ワークライフバランスの見直し」といった社会的背景も後押ししています。
親世代が仕事に追われ、子どもとの時間を取りづらい中で、「学び」を中心に据えた旅行は、親にとっても“育ちの現場”に立ち会える貴重な時間になるのです。

ただの“家族旅行”とは違う、5つのポイント

  1. 目的がある旅
     「何を学ぶか」が明確なので、漫然とした旅行にならず充実度が高い
  2. 体験が学びになる
     五感を使って自然・文化・人とふれあう中で“気づき”が生まれる
  3. 親子の対話が増える
     共に感じ、共に考える時間が、親子関係をより深く育む
  4. 旅そのものが探究になる
     子どもの「なぜ?」に出会い、その場で調べたり、考えたりできる
  5. 学びを家に持ち帰れる
     日記・レポート・発表などに発展しやすく、学校の学びにも活かせる

海外にもある“学び旅”のスタイル

ラーケーションと似た概念は、海外でも存在しています。

  • Educational Travel(教育旅行):文化・環境・歴史などをテーマにした学びのある旅
  • Edutainment(教育+娯楽):楽しみながら学ぶ体験型施設やアクティビティ
  • Roadschooling(移動しながらのホームスクーリング):キャンピングカー等で移動生活をしながら家庭教育を行うスタイル

このように、世界的にも“学びは教室の外にもある”という考え方は広がっており、日本版Edutravel=ラーケーションとして、今後さらに浸透していく可能性があります。

1-1. 注目される「ラーケーションの日」

2023年、愛知県が「休み方改革」の一環として導入したのが、「ラーケーションの日」。
年間3日間まで、保護者の休みに合わせて家族旅行をしながら学習活動を行った場合、学校で“欠席扱い”にならない制度です。

この制度により、これまでは“平日旅行=学校を休む=不安”という構図が、
「平日にこそ、学びのある旅ができる」「親子の時間がつくれる」と前向きに捉えられるようになりました。

すでに名古屋市を除く県内53市町で導入され、今後全国に拡がる可能性もあります。観光業界や教育機関との連携が進めば、より気軽に・意義ある形でラーケーションを楽しめる時代が到来するでしょう。

📎 参考:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000381.000026954.html

このように、ラーケーションは「家族にとっての第二の学校”であり、旅先が子どもの“学びのキャンパス”」となるのです。

2. ラーケーションが注目される背景

ラーケーションという新しい学びのスタイルが支持を集めているのは、単なる流行ではありません。その背景には、先述のように、私たちの「働き方」「学び方」「家族のあり方」が、ここ数年で大きく変化してきたことが関係しています。

以下では、ラーケーションが必要とされる社会的背景を、3つの視点からひも解きます。

2-1. 働き方改革と家族時間の見直し

近年、日本では「働き方改革」が本格的に進み、多くの企業でテレワークやフレックスタイムが導入されるようになりました。
従来のように“朝から夕方まで会社”というスタイルが変化し、場所や時間に縛られない柔軟な働き方が広がりを見せています。

これに伴い、次のような変化が起きています:

  • 親が平日に休みを取りやすくなった
  • 家族での過ごし方の選択肢が増えた
  • 「仕事」と「子育て・教育」を同時にこなすライフスタイルが可能に

特に共働き家庭では、土日や長期休暇に家族全員の予定を合わせるのが難しく、「平日を活用した家族旅行」へのニーズが高まっています。


こうした動きと並行して、「学びのある旅なら、むしろ平日に行く価値がある」と考える家庭も増えてきました。

また、企業側も“福利厚生の一環”として、ワーケーションやファミリーデイなどを支援するケースが増えており、「家族と一緒に過ごすこと」が社会全体で再評価されつつあります。

2-2. 教育の多様化と探究学習の重視

文部科学省が掲げる「主体的・対話的で深い学び」を実現するために、学校教育では近年「探究学習」や「体験型学習」の導入が進んでいます。座学や暗記に頼らない、“問いを立て、調べ、考える”教育への移行が加速しています。

その中で、ラーケーションのような実体験型の学びは、まさに探究学習と相性が良いと注目されています。

たとえば:

  • 歴史の授業で習った戦国時代 → 実際にお城を訪れて体感する
  • 食と農の単元 → 実際に野菜を収穫して食べる
  • 気象や自然 → 現地の自然観察やキャンプで実感する

このような「実体験×知識」の掛け合わせによって、学習内容の理解度・記憶定着率が大幅に高まることが分かっています。


また、家庭学習の視点から見ても、ラーケーションは「保護者が教育に関わる入り口」としても有効です。

  • 子どもの興味に合わせて旅先を選ぶ
  • 一緒に体験し、学びを振り返る
  • 学校での自由研究や発表にも活かす

このように、家庭が“学びの場”になることが求められる今、ラーケーションはまさに“親子が協働する教育スタイル”なのです。

2-3. 環境意識と地域とのつながり

世界中でSDGs(持続可能な開発目標)が重視される中、日本でも環境教育や地域資源の活用が注目されています。


子どもたちに「自然を大切にする心」や「社会の中で生きる意識」を育てるには、教室の外での体験が欠かせません。

ラーケーションでは、旅先の特色を活かした“環境×教育”のプログラムが可能です。

例:

  • 森林保全や里山再生活動への参加
  • 地域の海岸清掃やエコツーリズム体験
  • 地元の伝統工芸や食文化とのふれあい

こうした体験は、子どもにとって単なる思い出ではなく、「生きる力」や「地域とのつながり」を育む貴重な学びとなります。

また、最近では「地域との共創による教育旅行」という形で、観光地や農村部が学びを組み込んだ体験プログラムを整備しており、ラーケーション実践のハードルも下がってきています。

ラーケーションは“今”の時代にフィットした学び方

  • 親の働き方が柔軟になった
  • 子どもの学びがアクティブになった
  • 地域や環境との関係性が再構築されている

この3つの変化が重なった「今」だからこそ、ラーケーションは注目されているのです。


“旅行が学びになり、学びが思い出になる”このスタイルは、今後ますます広がっていくでしょう。

3. ラーケーションの目的とテーマの設定

ラーケーションを充実したものにするために、まず大切なのは「この旅で何を学ぶのか?」という目的の明確化です。

「どこに行くか」よりも、「なぜ行くか」。


これを事前に家族で話し合って共有しておくことで、旅のすべての体験が“学び”として意味を持ち始めます。

3-1. よくあるラーケーションの目的例

テーマ学びの内容体験例
自然体験環境問題・生態系・農業野菜の収穫、昆虫採集、森の探検など
歴史・文化理解郷土史・伝統・暮らし古民家見学、陶芸、伝統行事参加
科学・テクノロジー好奇心・STEAM教育科学館見学、星空観察、ドローン体験
食育命の循環・地産地消収穫→調理→食事の一連のプロセス
社会貢献コミュニティ・協働地域ボランティア、清掃活動、町づくり体験
自己成長挑戦・失敗・気づきサバイバル、キャンプ、登山など

これらを

「子どもが関心を持っていること」

「学校で学んでいること」

「家庭として伝えたいこと」

といった観点で照らし合わせて選ぶと、

より学習効果の高い旅になります。

ラーケーションで目的を持つメリット

  1. 旅に“意味”が加わる
     体験のひとつひとつが“発見”になり、単なるレジャーでは終わらない
  2. 子どもの主体性が育つ
     自分の目的があることで、「自分で調べる」「聞いてみる」など能動的になる
  3. 親もガイド役として関われる
     教えるのではなく、“一緒に学ぶ仲間”として関係性が変化する
  4. 学校や日常生活にも活かせる
     自由研究、総合学習、日記や発表などに発展しやすい

3-2. ラーケーションがもたらす6つの効果

ラーケーションは、旅先での一時的な学びにとどまりません。そこから生まれる“気づき”や“関係性”が、長期的に子どもの成長に影響を与えることもあります。

学びの定着率が格段に上がる

人は実際に見て、触れて、感じたことをより深く記憶に刻みます。
たとえば、畑で土に触れながら野菜を抜く経験は、教科書で写真を見るだけよりもずっと強烈に記憶に残ります。

「収穫したニンジンが曲がっていて驚いた」
「葉っぱをちぎったとき、いい匂いがした」
──こうした“感覚と結びついた知識”は、忘れにくい学びになります。

家族の絆が深まる

普段の生活ではすれ違いがちな家族も、ラーケーション中は共通のテーマで同じ時間を過ごします。
子どもが初めての挑戦にドキドキしたり、何かを発見して目を輝かせたりする姿を間近で見ることで、親子の信頼関係や共感の量が一気に増すのです。

自発的な学習姿勢が育つ

「なんで?」「どうして?」といった問いが自然と生まれる環境に身を置くことで、子どもは“学びたくなる状態”になります。
目的に沿った旅をすることで、自分で調べる、観察する、記録するという学習プロセスを自然に実践するようになります。

好奇心と探究心を刺激する

旅には予期せぬ出会いや出来事がつきものです。予定になかった昆虫、地元の人の話、突然の雨──それらすべてが、「もっと知りたい」「やってみたい」という気持ちを引き出してくれます。

ラーケーションでは、このような“好奇心を深掘りできる余白”がたくさん用意されています。

社会性・コミュニケーション力が向上する

地域の人々と関わること、初対面の大人と会話をすること、異なる年齢層と一緒に活動すること。
旅の中では、普段の教室とは違う人間関係の中での学びがたくさんあります。
自然と「聞く」「話す」「伝える」といったスキルが育ち、“生きる力”を実感できる場になるのです。

教育と休暇の両立によるQOL向上

親にとっても、ラーケーションは「育児と仕事のいいとこ取り」ができる貴重な時間。
午前中はリモートワーク、午後は子どもと農業体験、夜は温泉でリラックス──というスケジュールも実現可能です。

親も学び、子どもも育つ”

そんな充実感が、家庭全体の幸福度を引き上げてくれます。

このように、ラーケーションは「旅の中に学びを入れる」だけではなく、家族の関係性や子どもの成長をトータルで支える、非常に多面的な価値を持った学びのスタイルです。

4.ラーケーションの課題と対策

ラーケーションは非常に魅力的な学びのスタイルですが、実践にあたってはいくつかのハードルや心配ごともあります。


しかし、その多くは“準備”や“工夫”次第で解消可能です。

この章では、家庭や保護者が直面しやすい課題と、それに対する具体的な対策をご紹介します。

事前準備の負担が大きい

課題:

「行き先・学びのテーマ・体験内容・スケジュール・持ち物……とにかく決めることが多すぎる!」という声はとても多く聞かれます。特に初めてラーケーションに挑戦する家庭にとって、準備段階の情報収集だけで疲れてしまうことも。

対策:

  • 学びテーマ別のモデルプラン(例:環境×農業、歴史×街歩きなど)を参考にする
  • 宿泊施設や地域が用意する「教育プログラム付きパック」を活用
  • 子どもと一緒に計画を立てることで、親の負担を分担&子どもも前向きに!

📌 ヒント:公式サイトや旅行会社が提供している“学び特化プラン”をチェックするだけでも、イメージが広がります。

費用がかかる

課題:

通常の旅行と比べて、ラーケーションでは体験料・教材費・ガイド料・移動費などが上乗せされるケースが多く、金銭的負担がネックになる家庭もあります。

対策:

  • 地域の補助金や教育旅行支援制度を活用(自治体によっては「体験費用助成」あり)
  • 平日や閑散期を狙った旅程でコストを抑える
  • 無料or格安の“学びコンテンツ”を持つ公共施設(博物館・道の駅など)を活用
  • ふるさと納税型の「教育プログラム支援」を検討するのも一案

📌 農泊やキャンプ場など、自然体験+低コストな選択肢も充実しています。

学校との調整が必要

課題:

「平日に旅行していいの?」「欠席にならないの?」という疑問や不安は、保護者・子ども両方にとって共通の悩みです。
地域や学校によって対応が分かれるため、事前のすり合わせが重要です。

対策:

  • 事前に担任や校長に相談し、学びの計画・振り返り内容を説明する
  • 学習レポートや写真・動画で記録を残し、家庭学習として提出
  • 「ラーケーションの日」を導入している自治体(例:愛知・茨城など)の制度を参考に、交渉の材料にする

📌 最近では「旅育」や「地域連携教育」として、柔軟に対応する学校も増えています。

保護者の仕事との両立が難しい

課題:

「子どもと一緒に過ごしたいけど、仕事もある……」という現実的な悩み。
せっかくのラーケーションでも、親の仕事が忙しすぎて余裕がなくなると、本末転倒になってしまいます。

対策:

  • 午前中はリモートワーク、午後は子どもと体験活動など、時間帯を分ける
  • 滞在先にワークスペースがある宿泊施設を選ぶ
  • 1日の中で“仕事時間”と“家族時間”のメリハリをつけたスケジュールを組む
  • パートナーや祖父母など、家族の協力を得て分担する

📌 「無理のない範囲で関わること」が、成功の秘訣です。

子どもが学習に集中できない可能性

課題:

楽しい旅行気分が勝ってしまい、学びがおまけになってしまうこともあります。特に低学年では「遊びたい」が先に立ち、教育的要素が入ってこないことも。

対策:

  • 1日1テーマの“ゆる学び”設計にする(例:「今日は“食”について学ぶ日」など)
  • クイズ形式・探しもの形式など、遊びの中に学びを入れる
  • チェックリストやミッションシートを作り、達成感を持たせる
  • 振り返りの時間を必ず設け、気づきを言語化する

📌 「学び=楽しい」と子ども自身が感じられれば、自然と集中できるようになります。

天候・トラブルによる計画変更のリスク

課題:

自然体験が中心になるラーケーションでは、天候や予期せぬ事情でスケジュールが崩れてしまうことがあります。

対策:

  • 「雨の日プラン」を事前に用意する
  • 屋内体験型の施設(道の駅・博物館・工房など)をリストアップしておく
  • 現地での過ごし方に柔軟性を持たせ、“学びの視点”さえブレなければ良しとするマインドを持つ

📌 失敗も“学びの材料”になると捉えることで、計画通りにいかなくても楽しめます。

小さな工夫が、大きな安心に変わる

ラーケーションには確かにいくつかの課題がありますが、あらかじめ想定しておくことで多くは回避・緩和できます。
特に初めて実施する家庭では、「完璧を目指さない」「楽しみながら学ぶ」を意識することが成功のカギです。

5. ラーケーションを成功させるためのポイント

ラーケーションを「思い出深く、学びの深い時間」にするためには、いくつかの工夫とコツがあります。ここでは、実際にラーケーションを行った家庭の声や、教育の現場で活用されているノウハウをもとに、“成功するラーケーション5つのステップ”をご紹介します。

5-1. 学びのテーマを明確にする

最も重要なのは、「何を学ぶ旅なのか?」を明確にすること。目的がはっきりしていないと、ただの旅行で終わってしまい、「結局何も残らなかった……」ということになりかねません。

目的設定のポイント:

  • 学校で学んでいる内容に関連付ける(例:理科→植物、社会→地域文化)
  • 子どもが最近ハマっていることからテーマを選ぶ(恐竜、火山、農業、祭りなど)
  • 家族が大切にしている価値観に沿うものを選ぶ(自然・食・コミュニティなど)

旅のテーマを「今日は自然と食を学ぶ日」など一言で表せると、行動にも一貫性が出ます。

5-2. 子どもと一緒に“計画する”

計画段階から子どもを巻き込むことで、学びの主体性がぐんと高まります。
また、「旅の主役は子ども」であることを意識することで、子ども自身も「これは自分の学びなんだ」と実感できるようになります。

一緒にやってみたい準備:

  • 行き先の地図や施設を調べてみる
  • 行ってみたい場所・やってみたいことをリストにする
  • 目的地について調べたことを家族に発表する

「なぜここに行くの?」と問いかけるだけで、子どもの視点は学びモードに変わります。

5-3. 無理のないスケジュールを組む

「せっかくだからたくさん体験しよう!」という気持ちは大切ですが、詰め込みすぎると疲れや不満が溜まってしまいます。

スケジューリングのコツ:

  • 1日2〜3個の学び体験に絞る(午前:体験/午後:自由時間/夜:振り返り など)
  • 余白”の時間をしっかり確保する(自然の中でぼーっとする時間も学びです)
  • 予期せぬトラブル用に「プランB」や「室内施設」もリストアップしておく

スケジュールのゆとりは、思いがけない出会いや気づきを生み出す大切な“学びの余白”です。

5-4. 振り返りの時間を必ずつくる

学びを定着させるには、「経験を言語化する」「形に残す」ことが欠かせません。
ラーケーションでは、旅の後半や帰宅後に“振り返りタイム”を設けることが学びの質をぐんと上げます。

振り返りの方法例:

方法内容おすすめポイント
学習日記絵や文で体験を記録小さな子でもOK、旅の記念にもなる
家族プレゼン覚えたことを発表自信・表現力が身につく
スクラップブック写真+コメントをまとめる成長の記録として残せる
デジタルまとめiPadやスマホで記録・動画作成ICT活用、自由研究にも応用可

「今日は何を学んだ?」という問いを、毎日家族で話すだけでも充分な振り返りになります。

5-5. 終わった後も“つなげる”

旅の終わりが、学びの終わりではありません。
ラーケーションを日常の学習や生活に“つなげる”ことで、学びはさらに深まります。

学びの継続アイデア:

  • 旅先で知ったことを、学校の自由研究にまとめる
  • 気に入った土地の野菜を取り寄せて料理してみる
  • 関心が広がった分野の本や動画を一緒に見る
  • また次のラーケーションを計画する(テーマを変えてリピート)

「あの時のあれ、覚えてる?」と親子で思い出を語れることが、次の学びへのエネルギーになります。

ラーケーションは「家庭×教育×旅」のかけ算

成功するラーケーションのカギは、「事前に考え、無理なく楽しみ、きちんと振り返る」こと。
そして、“子どもと一緒に作る学びの旅”という意識を持つことです。

家庭の中に、“学校ではできない学び”を取り入れるきっかけとして、ラーケーションはこれからの教育の選択肢としてますます注目されるはずです。

6. 活動事例(自治体)

ラーケーションは、家庭だけで取り組むものではなく、自治体や教育機関、観光業界が連携することで実現性が高まり、より効果的な学びの場となります。

2023年以降、全国の自治体でも「家庭と学校の間にある“学びの選択肢”」としてのラーケーションが注目されており、制度化やモデル事業も進みつつあります。

ここでは、代表的な2つの県(愛知県・茨城県)と、他の地域における取り組み事例をご紹介します。

6-1. 愛知県:全国初の「ラーケーションの日」制度化

制度の概要:

  • 2023年9月より、愛知県が全国に先駆けて「ラーケーションの日」を導入
  • 年間3日まで、保護者の有給取得に合わせた“学びのある旅行”を欠席扱いとしない制度
  • 対象は県内の小・中・高校および特別支援学校(名古屋市除く)

主な特徴と効果:

  • “休み方改革”の一環として、教育と観光の両立を推進
  • 親子の時間を増やしながら、地域資源を活かした学びを実践
  • 県内53市町、1,000校以上で導入が進行中(2024年初頭時点)

活用例:

  • トヨタ産業技術記念館での自動車製造・織機体験(ものづくりの原点に触れる)
  • 知多・半田の味噌蔵見学や農泊体験(発酵文化・食育・地域経済を学ぶ)
  • 里山体験+BBQで自然と暮らしの関係を学習

📎 トヨタ産業技術記念館
📎 カクキュー八丁味噌

6-2. 茨城県:「年間5日」まで学校が認める探究学習制度

制度の概要:

  • 2024年5月より、茨城県が独自に年間最大5日間のラーケーション取得制度をスタート
  • 保護者が申請した「校外探究活動」に対し、学校が出席扱いとする制度
  • 特別支援学校や高校にも拡大中

活用事例:

  • 鉾田市「ほこたdeわくわくベジキャンプ」
     自然環境を舞台に、農業・サバイバル・地域学習を組み合わせた体験型学びキャンプ
     🔗 紹介PDF
  • 高等学校での実践例
     ・遠方の大学オープンキャンパス訪問
     ・裁判所傍聴・企業見学・地域福祉の現場視察など、将来の進路探究にも活用

導入効果:

  • 導入半年で8,500件以上の活用実績(2024年10月時点)
  • 生徒・保護者からは「土日ではできない貴重な体験ができた」との声多数
  • 教員からも「子どもたちが主体的に学びをデザインする力が育つ」と評価

6-3. 他地域での広がり

ここで紹介するのは、「ラーケーション」という名称や制度こそ採用していないものの、同様の目的や思想──すなわち、“地域での体験を通じた家族単位の学び”を実践している事例です。

制度としての整備はされていなくとも、結果的にラーケーションと親和性の高い取り組みが各地で行われています。今後、正式な導入や制度化につながる可能性も十分にある注目の動きです。

長野県・岐阜県など:農泊×教育旅行の推進

  • 中山間地域の空き家や古民家を活用した農泊体験型ラーケーションが進行中
  • 郷土料理、囲炉裏体験、田植えなどと組み合わせた「地方まるごと教室」が人気
  • 移住促進や地域活性化のきっかけとしても注目されている

📎 参考:https://www.kankou-gifu.jp/kyouiku/trip?utm_source=chatgpt.com#nav_article5

📎 参考:https://www.naganoken-gakushuryoko.net/experience_cat/agriculture/?utm_source=chatgpt.com

神奈川県:「旅育(たびいく)」の概念を導入

  • 観光と教育を組み合わせた「旅育プロジェクト」を展開中
  • 江ノ島・箱根など観光地における自然学習・歴史探訪・海洋教育などを実施

📎 参考:https://www.pref.kanagawa.jp/documents/85078/sankoushiryou3.pdf?utm_source=chatgpt.com

沖縄県:離島ならではの“地域体験×多文化学習”

  • 離島特有の自然・漁業・文化に触れるラーケーションプログラムを設計
  • 外国人観光客との交流を通じて異文化理解多言語対応力を育む機会に

📎 参考:https://www.pref.okinawa.lg.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/019/158/5-1.pdf?utm_source=chatgpt.com

6-4. 今後の展望と課題

今後、ラーケーション制度を正式に導入する自治体は増えると見られています。
しかし、現時点では制度が整っていない地域も多く、学校や教育委員会との連携は今後の課題です。

期待される動き:

  • 国レベルでの制度整備・補助金導入(教育旅行としての位置づけ強化)
  • 地域×学校×企業の連携プログラム開発
  • 教育コンテンツ提供事業者の増加・標準化

今、全国の地域が、子どもたちの「生きた学び」をサポートしようと動き始めています。
ラーケーションはその一環として、「旅先が学びのキャンパスになる」新たな教育の形。今後ますます自治体との連携がカギを握っていくことでしょう。

7. THE FARMでのラーケーション事例

千葉県香取市にある体験型農園リゾート「THE FARM」は、家族での“学び×リフレッシュ”をトータルで実現できるラーケーション拠点として高く評価されています。

広大な農園と自然を活かしたアクティビティに加え、グランピング、天然温泉、地元食材を使った料理など、五感すべてで「学びの旅」を体験できる場所です。

7-1. THE FARMとは?

約10万平方メートルの敷地を有するTHE FARMは、単なる観光施設ではなく、“農・食・自然・文化”を教育資源として活用した学びの場でもあります。

主な特徴:

  • 年間約4万人が体験する農業プログラム
  • 安心・快適に過ごせる多様な宿泊施設(グランピング・コテージ・HABITA)
  • 天然温泉&サウナ付きの癒し空間「おふろcaféかりんの湯」
  • 地産地消・Farm to Tableの食体験

7-2. 学びと感動が同時に起きる!体験型プログラム

● 野菜の収穫体験(食育×環境学習)

  • 野菜がどう育ち、どう味わえるのか──を“体験と実食”を通して学べる人気のコンテンツ。
    農園スタッフが「この野菜はなぜこう育つのか」「どう調理したらおいしいか」を解説してくれます。
  • 🌱「野菜はスーパーで買うものじゃなく、土から生まれるんだ!」という“原体験”が、子どもの記憶に残ります。

● ジップライン(挑戦×自然との一体感)

  • 約180mのジップラインを森の中で滑走する、スリルと達成感のあるアクティビティ。
    「怖いけどやってみたい!」という気持ちを乗り越えた先に、**自己効力感(やればできた!)**が育まれます。

● ブッシュクラフト(火起こし体験)

  • マッチやライターを使わずに、自然の素材から火を起こす体験。
    成功までの試行錯誤の中で、創造力・問題解決力・集中力が養われます。

7-3. 四季で学びが変わる!季節別ラーケーションプラン

季節学びのテーマ主な体験
命の芽吹きと農の始まり畑の土づくり、春野菜の種まき
自然探究とアウトドア技術虫捕り、火起こし、川遊び、星空観察
実りと文化を味わうサツマイモ掘り、焚き火、秋の味覚BBQ
暮らしと命の循環ハウス野菜、薪割り、温泉・読書で内省

季節が変わるたびに学びの内容も変わるため、リピートラーケーションにも最適!

7-4. 快適に過ごせる宿泊施設(学びを支える拠点)

  • グランピング:エアコン完備、ベッド付きで初心者でも安心。夜は焚き火や星空観察にぴったり。
  • コテージ:家族でゆったり過ごせるプライベート空間。ワーケーション対応設備もあり。
  • HABITA:木の温もりが感じられる癒し系宿泊棟。長期滞在型ラーケーションにもおすすめ。

7-5. 学びのあとに癒しを「おふろcafé かりんの湯」

学びの時間が終わったら、体と心を整える時間も大切です。

  • 露天風呂では、星空を眺めながら自然の恵みに感謝する時間を
  • サウナでは「親が整い、子どもが読書」できる工夫も
  • 10,000冊以上の本があるライブラリーは、知的な刺激の宝庫

学んで、疲れて、整えて。学びを深めるには「休む」も大事です。

7-6. スタッフの想いが学びを深くする

THE FARMのスタッフは「ただ遊んでほしい」のではなく、「この体験を通じて、何かを感じてほしい」と考えてプログラムを設計しています。

🧑‍🌾 「“野菜って苦手”って言っていた子が、自分で収穫した野菜を『おいしい』って食べたとき、私たちも感動します。」

このように、“人”が介在する体験こそが、ラーケーションを特別なものにしてくれるのです。

7-7. THE FARMでの1泊2日モデルプラン(例)

時間内容
15:00チェックイン
16:00野菜収穫体験
17:00BBQ講座、野菜マルシェ、BBQ
20:00焚き火タイム&星空観察
21:00温泉・読書・振り返り

THE FARMは、単なる旅行先ではなく、「家庭の外にあるもうひとつの学びの教室」。
自然、体験、対話、発見、そして癒し──あらゆる要素が揃った、“本物のラーケーション”ができる場所です。

「次の週末、どこに行こう?」ではなく、
「次の週末、何を学びに行こう?」へ──。

その第一歩に、THE FARMはきっと最適な答えをくれるはずです。

8. まとめ──旅するように、学ぼう。

「ラーケーション」は、旅の中に“学び”を、“学び”の中に“家族の時間”を、そして、親子の心の中に“思い出と発見”を残してくれる、新しいライフスタイルです。

旅行=娯楽という時代はもう終わり?

旅行がただの観光・リフレッシュだった時代は終わろうとしています。
今、世界中で「旅は自己成長のきっかけ」「旅先で人生が変わった」という価値観が広まり、教育と余暇の境界がゆるやかに融合しつつあります。

日本でも、子どもたちに「教室の外でこそ出会える学び」を与えたいと願う親が増え、
それに応えるように、学校・地域・企業が少しずつ制度や環境を整え始めました。

ラーケーションが与えてくれる“6つのギフト”

  1. 子どもにとっての「実体験に基づく学び」
  2. 親にとっての「子どもと向き合う時間」
  3. 家族にとっての「共通の記憶と会話」
  4. 地域にとっての「教育と観光の融合モデル」
  5. 教育にとっての「学校の外にある可能性」
  6. 社会にとっての「多様な学びの選択肢」

家庭ごとに「正解」は違っていい

  • 忙しくても、半日だけのラーケーションでもいい
  • お金をかけず、地元の図書館や森でもいい
  • 学びが曖昧でも、「面白かったね」から始めてもいい

大切なのは、“親子で何かを感じること”です。

ラーケーションは、完璧な教材や完璧な計画がなくても、
「子どもと一緒に世界を見よう」という気持ちさえあれば、すぐに始められます。

次は、あなたの家庭に“旅する学び”を。

THE FARMのような場所は、その最初の一歩を支えてくれます。
「やってみたい」を、「やってみた」に変える環境が整っているからです。

さあ、週末に地図を広げて、子どもに聞いてみてください。

「ねぇ、今度の旅で、何を学びに行く?」

そこから始まるラーケーションが、家族の未来を少しだけ豊かにしてくれるかもしれません。

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